HOME > エミイの宝箱 > KEKUHI ケクヒ

エミイの宝箱

< エレパイオ  |  一覧へ戻る  |  ハワイ島の物語 >

KEKUHI ケクヒ

ハワイ語は端的に言えば、「A·E·I·O·U」5つの母音と「H·K·L·M·N·P·W」7つの子音、そこに伸ばす長音(カハコー)と詰まる促音(オキナ)との組み合わせで成り立つ。
あいうえお文化の私達にとっては、発音体系や音節が似ていて馴染みやすい。しかもハワイ語には「B·D·G·J」などの強い濁音がないからか?チャントやフラソングを聴いているとなぜか癒されるね。ハヘホヘコホラ~ カパマノヒマナ~♪ なんてつぶやきながら、ゆったり歩いているだけでホッと緩む。
フラは"歌の意味を全身と心で表現する舞踊"である以上、フラダンサーにとって語学の勉強は不可欠である。難しい文法は傍らにおいて、ハワイ語の趣意を紐解くと興味深くとても楽しい。
たとえば、日本語の[勇気][兵士]は、ともにハワイ語では【KOA(コア)】である。すなわちハワイアン辞書でKOAと引くと、①コアの木:Native tree ②勇気:Brave ③兵士:Soldierと出てくるワケ。なぜ?....ハワイでは古代からコアという、アカシア科の堅くて軽くて水にも強い樹木がカヌーや農機具の材料として重宝されてきた。また、部族間の争いの折りには"鉄砲"が西洋から根付くまでの間、このコアの木を削った槍が武器であった。コアの武器を使うのは兵士!兵士とは戦いを怖れぬ勇気!このように言葉の意味が派生していったのである。
【HANA(ハナ)】もマウイ島の町名しかり、マハナ、プメハナ....等々、会話にも多く用いられるワードだが、主として、①温かい:Warm ②仕事:Workの意味がある。畑を耕し漁へ出かけ、たくさん仕事をすれば家族も周囲も満たされ、温かく幸せになるという関連性なのだ。最も腑に落ちたのは【MAKE(マケ)】マケマケと重複形でフラのラブソングに登場するワードだが、①欲望:Desire ②死:Deathという陰鬱な二つの意味が辞書に連なる。ハワイアンの価値観は、強欲は命を落とす事になる....ってコト。なるほど。
このようにエピソードを関連付けてワードを学べば、ハワイ文化で重要なKAONA(チャントやオリが示す裏の意味)への理解も深まり、自分が何を踊っているかがさらにわかり、表現力が増すね~。

さて、ハワイ島ヒロにある母体ハーラウ「ハラウ オ ケクヒ」のケクヒだが、これは冠詞にあたる【KE(ケ)】と【KUHI(クヒ)】クヒとは、"指す""方向を示す""創造""表現""先端"など前向きな解釈が並ぶ。ハラウを命名した先々代のクムは、まさにハワイが進むべき未来を見据え、HULAで一路邁進されたかったにちがいない。
【伝統を重んじながらの創造に伴う自由な魂の変動】私がフラを通して求めているテーマなのだが、これぞフラの芸術ではないか!神々に導かれる芸術...古典フラこそ、怯む事なく最先端をゆくべきはず!【KEKUHI】という一語が私の胸にはこのように刺さり、クムナラニに投げかけてみた。クムは一言「Ya, Art!!」と。
かくして、"カトーエミイ舞踊塾"というハラウ名には10年前"HULA ARTS"アートがついて"カトーエミイ舞踊塾フラアーツ"となったのである。
emiik.
 
210603_1.png

< エレパイオ  |  一覧へ戻る  |  ハワイ島の物語 >

このページのトップへ