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エミイの宝箱

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〈 `OHE HANO IHU 〉 ~古代ハワイの王が作った鼻笛~

ハワイアンにとって、HĀ(呼吸)とは命そのものを表す民族的な価値観を秘めたワードである。人間が自然界の一部として存在する『息吹き』を意味し、チャントの世界においても常に尊いものとされてきた。
HĀとは、身体の奥深くから吐きだされる "気" でもある。ALOHĀのHĀはまさに、このハー。真心をもってお互いに交わす挨拶がアロハー!(アロ~~ハッ!!と商業用な感じは、私達は避けたい)
しかし、呼吸をする『口』は時に偽りの言葉を発し、悪態で相手を傷つける事もある。それに比べて『鼻』は嘘をつかない。芳しい花々の香りや懐かしい匂ひをくれる。
ポリネジアの島々には鼻のキス文化が残っていて、親密な相手や家族とはまず、オデコを合わせて交信(?)してから鼻と鼻をグリグリつぶれるくらいにこすりあう。初めてこの歓迎を受けた時思わずよろけたが、実は深いポリシーがあったのね。

この神聖な鼻『IHU』で吹く竹『`OHE』の笛が、"オヘハノイフ"だ。
竹一稈を使い片方の節を残して作るのだが、口をあてる日本の竹笛とは違い、まず『PUKAIHU』 という鼻から出す息を吹き出込む穴を節近くにあける。その後、竹の真ん中ほどに、指でおさえる音色チェンジのための穴『PUKA MANAMANA LIMA』を3つあけて完成。(と言っても丸一日がかり)
西洋楽器にも上物があるように、素晴らしい出来映えの鼻笛は神秘的な肉声のようなチャントを奏でるのだ。単なる "楽器" ではない。あきらかに吹く人間の心と連動している。
鼻から塩水を吸い込み清めてから(最初は涙が出ますがだんだん慣れると快感に!)PUKAIHUに右の鼻の穴をそっとあてる。左の鼻の穴は指でおさえて....。3つの竹笛の穴も指でカバーし、口からすっ~と息を吸い込んで鼻からふうっ!! (* ̄◇)=3<< ??? あれ? す~す~す~音が何にも出な~~~~い! という格闘の日々が続き、なんとかコンスタントに良い音を出すまでに1年かかった。まだまだ満足のいく音色には程遠いが、私にとっては至福をもたらす三種の神器その1なのである。
とにかくそっとそっと、優しく深い息をしたためる。オヘハノイフはハワイの伝説にもたびたび登場するが、本来は愛する人への想いを音で告白するためのものだったらしい。告白された相手は、その音色が気に入れば、こちらからもまた、熱い霊妙な音で返事を奏でる。二人の間では、音色が暗号として交わされたりもする。
なんとロマンに溢れた!! マノアの森にはカパをまとった筋肉隆々の光源氏がおったに違いない。

emiikatoo


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